活け締め・野締め・脳締め・神経締めの違いとその方法

魚を締める「野締め・脳締め・神経締め」の違いとその方法

魚を締める「野締め」「脳締め」「神経締め」の違いを説明します。

魚を締めると良く聞くけど、いまいちピンと来ていない方はご覧ください。

魚を締める「野締め」とは?

野締めとは、漁獲や釣り上げた魚をクーラーや生簀(いけす)に入れて窒息死させ、死後硬直することで締める方法です。

魚を入れるクーラーや生簀(いけす)に海水氷や氷などを入れ、その冷たさでショック死させたりもします。

魚が死ぬまで暴れ続けるため、野締め状態の魚のことを「苦悶死(クモンシ)」と表記したりします。

野締めの魚は暴れ続けて死ぬため、身が焼ける「身焼け(やけ肉)」状態になったり、うっ血状態になって体内に血が染みたりという魚の鮮度を落とす原因になります。

その日に食べる魚でしたら問題ない処置ですが、翌日以降に食べる場合は次に紹介する「脳締め」と「血抜き」処理まで行うことを推奨します。

脳締めの魚を食べる際に、三枚におろした身に血が染みているようでしたら、血の臭いを感じさせない火を通す料理がおすすめです。(刺し身だと生臭く感じるかもしれません)

たまに「脳締め」状態の魚に「野締め」のシールが貼られて売られていることがあります。

そうした魚は、脳天やコメカミを確認して、切り込みや締め穴が開いていれば「脳締め」されていると思って良いです。

魚の名前が地域によって変わるのと同じで、処置方法の名前も地域によって変わることがあるケースです。

魚を締める「脳締め」とは?

脳締めとは、生きている魚(活魚)の脳(脊髄)を破壊して瞬殺させることで締める方法です。

脳締めの場所や方法は以下の2通りに別れます。
・目と目の間にある眉間の位置にアイスピック(フィッシュピック)を刺して行う
 この場合、根魚や真鯛など魚によっては眉間が固く刺さりにくい場合がある。

・魚のコメカミの位置にアイスピック(フィッシュピック)や締め鉤(しめかぎ)を刺して行う
 コメカミは眉間ほど固くないので、アイスピックでなくてもドライバーやハサミの先などで代用可能。

処理をする際、魚を上から抑えながらしやすいのはコメカミを締める方法です。

魚や処理場所によって最適な方法で脳締めできるように、どちらの方法でも出来るのが理想です。

最初に覚えるなら、全ての魚で対応可能なコメカミで覚える方法を推奨します。

脳締めが完了すると魚の眼の色が変わり、口が開くのでそれを一つの目安にしてください。

どちらの方法でも魚を抑えて処理をするのですが、魚が暴れてヒレが刺さらないようお気をつけください。

魚を抑える際は抑えすぎて身割れをしないよう最小限の力で抑えるようにしましょう。

最初に魚の眼を隠すと暴れなくなります。(魚を触れる時は軍手をすると、体温が魚に伝わらなくなります)

魚の動きを封じる方法として他には、サーモンやマグロなどで見られる「魚の頭部をバットで殴り、脳しんとうを起こさせる」方法もありますが、バットを持ち歩く必要があるので、釣り人としては現実的ではありません。

魚を締める「神経締め・神経抜き」とは?

神経締め・神経抜きとは、脳締めして血抜きした魚に対して、針金を脊椎骨にある神経が通っている穴に通して脊椎骨にある神経を破壊することです。

脳締めしただけの魚は、脳死状態で体はまだ活きた状態です。

大型魚を脳締めしただけの場合、脳死から30分前後で脊髄神経が反応して痙攣により魚体が動き出してしまいます。

死後に痙攣が起こることで、旨味成分になるIMP(イノシン酸)が消耗してしまいます。

他には魚体に身やけ・割れ身をおこしたりと、魚の美味しさが半減してしまいます。

それを防ぐために、脳締め後に血抜きを行い(放血)、脳天や尻尾に開けた穴にワイヤーを通して脊髄神経を破壊することで、上記のような痙攣を止めることができます。

こういった理由から脳締めと神経締めがセットで紹介されることが多いです。

※脳締め後に血抜きを行うのは、魚の心臓が生きている状態で血抜きを行うと、心臓のポンプ機能のおかげで血が抜けやすいためです。

※神経締めまでした魚を保存する際に魚体に直接氷を当てると、つめたさから身が収縮してしまいます。(神経締めした意味がなくなる)

※鯉は脊髄破壊をしなくても筋肉は痙攣しません。

※ヒラメは脊髄を壊すことで死後硬直が促進されてしまうことがあります。

活け締め・活き締め・活け〆・活き〆とは?

活け締めとは「生きた魚を締めて、血抜き」して、魚の鮮度を保つことをいいます。

締める方法は「脳締め」して脳死状態にする場合と、ワイヤーを通して脊髄神経を破壊する「神経締め(神経抜き)」の2パターンの処理が混在している場合が良くあります。

「活け締め」に似た言葉で「活け越し」とありますが、こちらは魚を生きている魚(活魚)で保存するために、絶食状態にしていけすで生かしておく処置のことを言います。

そのほかの魚を締める方法とは?

電気麻酔(フィッシュハンドリンググローブ)


通電式のグローブで魚を持つことで、電気を流し魚の動きを止めるグローブです。

主な使用目的は魚の計測、採卵、タグ打ちなどですが、活魚の輸送じなどでも活用できそうです。

詳細はこちら(フィッシュハンドリンググローブ)

自動活け締め機

自動活け締め機は主に漁船で使用される機械で、カツオやカンパチなどの魚を対象に、脳・脊髄神経・延髄・エラを破壊します。

自動活け締め機にかけた魚は、野締めの魚と比較して血の染みや生臭さが少なく、色味や食感の良い魚に仕上がることが分かっています。

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